Blooming Wooing Audio

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PS2000eのレビュー(Grado)

GRADOのフラグシップヘッドフォン、PS2000eのレビューです。こちらについてはバランス版ではなく、アンバランス端子(6.3mm)のものになります。

 

GRADOはアメリカのヘッドフォンメーカーです。古き良きガレージメーカの流れを汲む、よく言えば長閑な雰囲気を漂わせるブランドです。

PS2000eが出て以来、この強烈な個性を持った音が魅力的だと思って来ました。年末にフジヤのセールでとても安くなっていたので、つい買ってしまいました。(DAPを新調したばかりだったのに……)とはいえ、大型のヘッドフォンを買うのはSR-009以来。2015年の秋ということは、もう5年以上経っていますので、許されるのではないかと……。

本当ならバランス版が欲しかったのですが、価格差には勝てず……。まあ、後でプラグだけ付け替えれば良いや、と購入してしまいました。

 

以下のレビューはDA-06からP-700uのアンバランス端子に繋いで聴いたものです。

 

PS2000eの音質

GRADOの音がします。

GRADOといえば、かなり癖の強い、華やかな音色が特長です。PS2000eもご多分に漏れず、かなり特徴的な音がします。

一つ一つの音色が華やかに表現されるヘッドフォンで、特にメインを張る音が魅力的に聞こえます。ボーカルや、ロックだったらギターソロ、ジャズだったら金管のソロなど、一番聴かせたい音を、一番魅力的に聞かせてくれるイメージです。一つ一つの音色が太く、それでいて華やかに美しく聴かせてくれます。ポップスなどで、声を綺麗に聴きたい、みたいなときには最適なヘッドフォンでしょう。

一方でGRADOといえば、華やかすぎるあまり、ゴチャゴチャっとした感じになる印象があるのですが、PS2000eはあまりそんな感じを受けません。さすがに高級機だけあって、音の分離や細やかさについても高い能力を持っています。とはいえ、フルオーケストラや打ち込み等の、「音が多い音楽」については、耳が迷子になるというか、ちょっとうるさくなってしまうことがあります。どちらかというと、バンドサウンドとか、ジャズ(ビッグバンドを除く)とかの方が得意だと思います。

帯域バランスはほぼフラット。少しかまぼこ気味でしょうか。主役を魅力的に見せるイメージです。音の分離はそこそこ。音場は広めです。

 

PS2000eのつけ心地とか

正直なところ、つけ心地はそんなに良くありません。重いですし、長時間つけていると頭頂部が痛くなります。とはいえ、GS1000などの機材に比べればかなり改善されていると思います。

ケーブルは1.5mほどですが、延長ケーブルとミニプラグ用変換ケーブルがついてきます。ただ、かなり太く、取り回しはあまりよくありません。能率はそこそこですが、音漏れがヒドく屋外で使うのは不可能でしょう。

 

SR-009との比較

STAXのSR-009と比較してみました。とはいえ、SR-009はもちろんコンデンサ型のため、アンプも異なり、単純にヘッドフォンの比較とは言えませんが……。

 

両方とも基礎的なレベルは高いですが、やはりSR-009の方が一枚上手な印象です。特に音の細やかさ、音場の明確さについては差が判ります。音場の広さはほぼ互角。

帯域バランスはSR-009が完全にフラットなのに対し、PS2000eはやや強調される帯域がある気がします。しかしこれは悪いことではなく、PS2000eの、「主役を聴かせる」ことに一役買っている面が有るように感じます。

ボーカルなどの艶やかさはPS2000eに軍配があがりますが、音楽全体の細やかな表現や再現性についてはSR-009といった印象。

 

どちらが良い、と言うよりは正直好みだと思います。全体をフラットに見通すように聴きたいのなら、SR-009。主役のボーカルやギター、金管などをじっくり堪能したいなら、PS2000e、といった印象です。

 

まとめ

とても魅力的なヘッドフォンです。特に、ボーカルものを堪能し尽くしたい、という方には最適なヘッドフォンだと思います。