Blooming Wooing Audio

オーディオや音楽についてのblogです。手持ち機器のレビューやイベント参加感想など。

ヘッドフォン祭2022春に行ってきました!

もう何年ぶりでしょうか、久方ぶりにヘッドフォン祭がリアル開催されたので行ってきました。会場はいつもの通り、中野サンプラザ

 

コロナが蔓延しだしてから中止になったり、オンラインのみの開催が続いていたのですが、ついに再開となりましたので、喜び勇んで参加してきました。感染対策ということで開催は一日だけ。入場は事前申し込みの800名のみ。会場でのセールもありません。また、以前は4フロアくらい使っていたと思いますが、今年は13階と15階の2フロアのみということで、ちょっとこぢんまりとした感じになりました。

 

とはいえ、参加者が絞られたおかげで会場の混雑も少なく、参加者としてはかなり満喫できました。ということで、以下恒例の試聴レビューです。

 

STAX SR-X9000

さて、これを聴きに行ったと言っても過言ではありません。SR-009Sから数年ぶりのフラグシップ更新です。009から009Sがややマイナーチェンジ感だったことを考えると、実質10年ぶりと考えても良いのではないでしょうか。

 

STAXの音を、正統進化させたような感じです。全体的に端正に、正確に音源を再現してくれていて、基礎性能に関しては他の追随を許しません。009に比べるとやや音がふくよかになり、音色がより艶っぽく感じます。音場はそこまで広くはありませんが、明確に感じます。帯域バランスは下から上までかなりバランス良く出ます。009に比べるとやや低音の量感が増したような印象を受けました。レンジは驚異的に広く、下も上もかなりのものです。

 

最初はT8000に繋いで聞いていたのですが、ブースの人と話して、真空管の音が苦手だと言うと、700Sに繋ぎ替えてくれました。比べてみると、T8000の方が、だいぶ印象が良かったです。ヘッドフォンが進化したせいなのか、はたまた歳を取って好みが変わったのか……。

 

個人的にはとても感銘を受け、購入することを決意しました。が、実はついこの間大きく散財をしてしまったので、しばらく先になると思います。(それについては別途レビューします)まあ、いずれにせよバックオーダーを大量に抱えているらしく、今注文しても納品まで半年くらいかかるようですが……。

 

我が家のドライバはRe leaf E5 studio + iFi iESLという変化球構成ですので、T8000も含めて導入するかはちょっと悩み中です。。。

 

 

Austrian Audio Hi-X65

さて、ご存じの方も多いと思います。一時期話題になった、AKGSamsungに買収された話。その前後でAKGにいらっしゃった開発チームが立ち上げたのが、Austrian Audioとなります。個人的に、K701やK3003を長らく使っていたわけで、当然試聴してきました。

 

聞いたのはX65という解放型のフラグシップ。かなりモニタ寄りの音作りです。上から下までフラットで、びっくりするくらい音の分離が良いです。音場は明確ですが、そこまで広くはない。音色も正確で、ほとんど味付けがありません。ただ、正確すぎてリスニングにはやや退屈かも。レンジもそこまでの広さではありません。

 

表現するなら、お手本のようなヘッドフォン。帯域バランスが良く音が正確です。

 

お値段は5万円前後。価格を考えればかなり健闘しているモデルだと思います。

 

 

 

Fitear Silver

カスタムイヤホンの老舗にして第一人者、Fitearの新作です。整理券をもらって試聴したのですが、2時間待ちでした。さすが、凄い人気です。

 

新作のSIlverですが、低音~高音はほぼ完璧です。特に低音は、イヤホンでここまでの質と量感を両立できるものはほとんどないと思います。中音域も魅力的に、楽しく聴くことが出来ます。ただ、高音はやや残念な印象。少しシャリつき気味の印象を受けました。名前の通り、素材が銀とのことで、ちょっと重いのも気になるところです。

 

Jaben Sendy Peacock

個人的に、クマで懐かしくなるJabenからは、Sendy AudioのPeacockというヘッドフォンが出展されていました。木製のハウジングがお洒落です。平面型ということで、音量は取りにくそうです。

 

聞いてみて、ちょっと驚きました。音場がとても広く、ちょっとヘッドフォンとは思えないほどです。音色は柔らかめで、弦や木管が得意な印象。帯域レンジも、特に低音の沈み込みがすごく、高音も違和感を感じません。帯域バランスとしては、かまぼこ型からやや低音よりくらいでしょうか。クラシックも良いですし、POPSなどを聞くのも楽しそうです。

 

この音で、お値段が20万円前後、ということで、さらにびっくりしました。30万~50万クラスのヘッドフォンと十分に張り合える音です。コスパから考えれば最高級ではないでしょうか。

 

Final D8000/D800 pro

さて、Finalが高級イヤフォンやヘッドフォン市場で地位を確立してから何年も経つのですが、なぜかちゃんと試聴したことがありませんでした。ということで、今回D8000とD8000 proを聞き込んできました。

 

先発のはずですが、D8000の方がポテンシャルとしては高い気がします。特に帯域レンジにおいて顕著で、低音の沈み込む感じはなかなかのものです。バランス的にはかなり良好で、オーケストラなどを聴くにはかなり良いと思います。一方、D8000 proの方は、ややかまぼこ型な印象があります。バランスの話だけなら良いのですが、レンジ的にもやや狭くなっているような気がします。ただ、POPSとかで、ボーカルなどに特化した聴き方をするならこちらの方が楽しめそうです。

 

全体的に高水準でまとまっており価格なりの実力があるように思います。バランスの良いわりと万能型な音色作りな印象なので、これ一つで色々聞けると思いますが、個性という点では際だったものはないかもしれません。

 

 

 

AUDEZE CRBN

AUDEZEの静電型ヘッドフォン、Carbonを省略してCRBNらしいです。

 

静電型なので、専用のドライバが必要です。STAX互換の仕様ですが、会場では、アイスランドのMjölnir-Audioというガレージメーカーが開発したドライバに繋がっておりました。ミョルニルと言えば、北欧神話ですね。ブースの人と話してたところ、日本向けに100V用の製品を作ってもらったようです。帰ってからwebサイトを見てみましたが、本当に手作り感が満載です。

 

静電型ですが、STAXとはやや違う音作りの印象です。けっこうロー上がりのバランスで、濃密な音がします。あまり、静電型で楽しくリスニング! みたいな音作りのものを聞いたことがないのですが、そっちを目指しているような感じを受けます。傾向としてはSTAXというよりは、SHUREのKSE1500の方が近いかもしれない。ただ、静電型らしく、音の正確性や制動の良さは感じ取ることができ、基礎性能は抜群です。

 

値段的にSR-X9000と正面からぶつかる感じになると思います。性能的にも甲乙つけがたく、両方とも素晴らしい機種です。

が、そもそも目指している方向が全然違うような感じがするので、この二つで迷う人はあんまりいないような気がします。

 

 

 

久しぶりのリアルイベントとあって、色々楽しく聴けました。今回、入場者の上限があったためか、会場もあまり混み合ってなく、じっくりと試聴出来たのも良かったです。

 

個人的には何と言っても、SR-X9000を試聴出来たのが嬉しかったです。期待を裏切らない素晴らしい出来でした。また、Sendy Peacokも良い意味で期待を裏切られたというか、嬉しい発見でした。あの値段であの音はちょっと頭一つ抜けているように思います。全然話題になっていませんが……。

 

ともあれ、大満足のイベントでした。いまから、次回の開催が楽しみです。