Blooming Wooing Audio

オーディオや音楽についてのblogです。手持ち機器のレビューやイベント参加感想など。

d-2のレビュー(Soulnote)

SoulnoteのDAコンバータ(DAC)、d-2のレビューです。

 

私は、オーディオを本格的に始めた時点ですでに、PCオーディオを中心に据えていました。最初はイヤフォンに凝り出したのですが、そのときすでにDAP(当時はそんな言葉ありませんでしたが)を使っていて、家で音楽を聴くときもパソコンからでした。そのため、DACがかなり重要な地位を占めてきました。

今回、一大決心をしてDACを買い替えましたので、事の経緯や音質や機能面などについてレビューしたいと思います。

 

経緯

DACLuxmanのda-06を7年ほど使っていました。音も気に入っていたのですが、デジタル機器だけあって、やはりある程度技術的な進化が起こっており、そろそろアップデートしたいなと考えていました。ただ、LuxmanからはフラグシップのDAコンバータが出る気配がなく……。

D-03Xのような、プレーヤーにUSBなどのデジタル入力がついているものは発売されていて、メーカーとして新技術も取り込んでいると思います。が、ブランドとしての判断なのか、DACは発売予定がちっとも出てきません。そこで、他ブランドを含めて予算内で気に入る機器がないか探してみることにしました。

 

ずっと前から、スピーカー用のアンプとしてはSoulnoteのsa1.0を使っていて、その高い品質に感銘を受けていました。予算的にd-2が候補になり、試聴を経て結果的に購入することにしました。ちなみに、他にはAccuphaseやPS Audio、Chordなども聞きました。また、前述のD-03Xなども試聴しています。

 

機能

機能的には、単にUSB DACです。入力はUSBの他、同軸(SPDIF)2系統、バランス(AES/EBU)2系統です。DACにしては珍しく、光入力はありません。また、クロック入力があります。

USB入力はもちろんハイレゾ対応で、22.6MHz のDSDまで対応します。

出力はバランスとアンバランスが1系統ずつ。単にDACであって、プリアンプのようなことはできません。まあ、よくある基本的なDACの構成ですね。

 

ちょっと変わっているのが、Bulkpetに対応している点です。WindowsMac OSの場合、専用のドライバを利用することで、USBの転送方式を変更することができ、音質の向上を図ることができます。

 

 

音質

さっそく繋いで聞いてみました。環境は特に断りが無い限り下記の通りです。比較対象はLuxman da-06。

 

PC → (iFi Gemini) → Soulnote d-2 → Re・leaf E5 studio → iFi iESL → Stax SR-009

 

まず、音の密度というか、力強さが凄いです。一つ一つの音がエネルギッシュに、力強く響いてきて、ちょっと暑苦しいほどです。線が細い感じはまったくなく、全ての音が存在感を持ったような印象になりました。ちょっと癖が強く感じる人もいるかもしれません。

バランスは概ねフラットですが、DA-06に比べると、低音の存在感が増したように聞こえます。レンジはより広くなり、超低音の沈み込む感じも表現できます。高音も煌びやかでありながら、突きささるような感じもなく綺麗に慣らしきることができます。

音場は明確ですが、広さはそこまでではありません。DA-06はなんとなくぽやっと包み込むような心地よさがありましたが、d-2はどちらかというとしっかり立ち位置が決まっているような印象です。この辺は好みが分かれそうです。

 

ヘッドフォンにSR-009を使うと、ヘッドフォンの繊細さとDACの力強さが良い感じにバランスを取り合ってくれます。全体的に見て、非の打ち所のない、高いところで安定した音楽を鳴らしてくれます。どんなジャンルを聞いても満足できる、”究極の普通の音”といった感じになります。

一方、ヘッドフォンをGradoのPS2000に変えてみると、かなりパワフルな感じになります。低音が強く出て、相当ノリノリな感じになります。聞く音楽を選ぶとは思いますが、これはこれで魅力的です。特にベースのぶりぶりした感じは、他の環境では中々得られないと思います。

 

Bulkpetについて

前述の通り、専用ドライバを入れることで、Bulkpet機能を使うことが出来ます。

ただし、WindowsMacのドライバを入れることが前提なので、使っているZEN Streamではその恩恵を受けることが出来ません。あれはOSがVolumioベースですからね。

 

ドライバーをインストールすると設定画面がコントロールパネルに追加され、伝送方式を選ぶことができます。通常のアイソクロナスの他に、4つのmodeのBulkpet、さらにJplay モードの計6つの中から選ぶことができます。

 

設定を変えると、たしかに音が変わります。デジタル段なのに、伝送方式が変わるだけで結構違いがでるので、面白いです。

全体的に、アイソクロナスからBulkpetに変えると、ちょっとベールが剥がれた感じというか、一つレベルアップしたような印象があります。USBケーブルをアップグレードしたとき、みたいなイメージでしょうか。音の一つ一つがより明瞭になったというか、正確になったような印象です。

 

色々聞いてみたのですが、個人的にはmode3が気に入ったので、それを使っています。

 

また、恐らくBulkpetのおかげだと思うのですが、ZEN Stream経由とPCでそれほど音質に差を感じなくなりました。

DA-06のときは、PCからよりも、ZEN Stream経由の方が音が良いように感じていたのですが、d-2に変えてからはそう感じなくなりました。Streamだと、アイソクロナス伝送なので、トランスポートからのノイズ差を伝送方式の差で埋めているのかもしれません。

 

総評

全体的に見て、素晴らしいDACだと思います。もちろん、お値段はそれなりにしますが、それ以上の満足感をもたらしてくれると思います。

ただ、わりと音色に癖が強いので、下流の環境によっては収集がつかなくなる恐れがあります。

 

また、Bulkpetによる音質向上も見逃せないところです。PC Audioの泣き所であったUSB部分に手を入れることで、ソフト的に音質が向上できるのは嬉しい発見でした。

願わくば、ZEN StreamでもBulkpetが使えるようになると良いのですが……。