Blooming Wooing Audio

オーディオや音楽についてのblogです。手持ち機器のレビューやイベント参加感想など。

E5 studioとiFi iESLを繋げてみました

さて、前回記事にしたとおり、E5 studioを導入しました。ということで、E5 studioからiFi iESLに繋げてみた、というレビューです。

 

iESLと静電型ヘッドフォン

すでに何度か書きましたが、私がメインで使っているのはSTAXのSR-009というヘッドフォンです。これは静電(コンデンサ)型と呼ばれるもので、普通のヘッドフォンと同じようには使えません。必ず、専用のドライバ(アンプ)が必要となります。

 

STAXはヘッドフォンもドライバも両方出しているので、基本的には一つずつ買って組み合わせることになります。私も以前はSRM-727Aというドライバをボリュームパススルーで使っていました。

 

その後、iFiからPro iESLというモデルが出ました。これが「エナジャイザー」という、静電型ヘッドフォンを鳴らすためのドライバです。機能としては、「通常のアンプやヘッドフォンアンプから出ている信号を基に静電型ヘッドフォンを鳴らす」ということができます。ただボリュームがついていないので、音量を変えることは出来ません。(入力インピダンスを変えたりAC Terminationを変更したり、という機能はあります)

 

SR-009での音質

ということで、音質レビューです。

環境としては、PC → DA-06 → E5 studio → iESL → SR-009 となります。基本的には、P-700uとの比較になります。

 

P-700uの時点で大変素晴らしい音だったのですが、さらにブラッシュアップされました。P-700uはラックスマンらしく、とても綺麗な音色と柔らかな音場の表現が魅力ですが、E5 studioにすると、もう少し音色がくっきりして輪郭がなぞられたような印象です。帯域の広さは本当に素晴らしく、超低域から高域までバランス良く出ます。SR-009は低音があまり目立たない機種だと思っていたのですが、この構成だと結構はっきり聞こえて来ます。

また、音場の表現は大変明確で奥行きが感じられます。一つ一つの音色の美しさは言わずもがなで、静電型の実力が感じられます。

全体的に、ひとつレベルアップしたような印象です。P-700uはアンビエントな感じがしてとても魅力的ですが、E5 studioはもうちょっと現代的というか、音楽全体を楽しみながらも、一つ一つの音色がより明確になっているような感じです。

 

ところで、ちょっと面白いことを発見しました。iESLはインピダンスを16Ω~96Ωで選択出来るようになっています。普通のヘッドフォンアンプの場合、繋ぐ先の抵抗値が大きくなるほど、音量は小さくなっていくはずです。

ところが、E5 studioの場合、インピダンスを変えても音量は変わりません。(音は変わりますが)これは、E5 studioの「電流駆動」回路がインピダンスの影響を受けないように設計されているからではないかと思います。

 

接続ケーブルについて

iESLの入力なのですが、同じiFiのPro iCan以外からの接続だと、バランスヘッドフォン入力(4pin XLR)かスピーカー端子からの入力です。ヘッドフォンを鳴らすので、ヘッドフォンアンプ(E5 studio)からの信号を4pin XLRで受けたいのですが、一つ問題があります。

E5 studioは4pin ヘッドフォンアウト、iESLは4pinヘッドフォンイン、です。なので「4pinXLRのオス → 4pinXLRのメス」というケーブルが必要なのですが、そんなケーブルは世の中にほとんどありません。そもそも4pinXLRって、ここ5年くらいバランスヘッドフォンで見るようになったくらいで、他の用途にほとんど使われていないですからねえ。。。

 

ということで、ネットで探してみても、ほとんど見つかりません。2000円くらいのスタジオ用のが唯一見つかったのでこれを購入しつつ、AVCTのST-1Q-MK2にコネクタを半田付けして作って見ましたが、どうにも満足する出来になりません。前者は明らかに腰高で低音が出ていません。後者は低音は良いものの、中域と高域の境目くらいに、妙に引っ込んだ帯域があり、不自然な感じを受けました。

 

そこで、E4UAさんに相談して、ケーブルを作って頂きました。用途や接続機器を説明したところ、線材やコネクタについてアドバイスをいただきまして、発注しました。3週間ほどで届きましたが、大変素晴らしい出来でした。帯域の広さ、バランスの良さ、ノイズ感の少なさ、とどれをとっても素晴らしいです。銀メッキ線材ということで、もう少し華やかな感じになるかと思っていましたが、以外と柔らかい音色でした。また、物理的な意味で思ったより線が細かったです。普段、ヘッドフォン用のケーブルを作成頂いているので細い線を使っているのだと思いますが、機器間接続なので取り回しを考える必要がないため、もしかしたら他に線材の選択肢があったかも知れません。

 

 

静電型以外のヘッドフォン

実は、iESLには普通の4pin XLRの出力もついています。ここには普通のダイナミック型などのヘッドフォンも繋ぐことが出来ます。4pin XLRで受けて、それを4pin XLRで出していることになるわけですが、単なるパススルーというわけではないようで、明らかに音が変わります。

PS2000eを繋いでみました。E5 studioに直で繋いだときに比べると、かなり引き締まったような印象を受けます。よく言えばくっきりしたような、悪く言えばちょっとキツく聞こえます。どちらが良い、というよりは好みの問題でしょう。

 

まとめ

そもそも、iESLを買う人は限られていると思いますし、ほとんどの人はPro iCanとセットで使っているかと思います。

けれど、iESLというかなり特殊な機器を使い倒すことを考えた場合、それ以外のヘッドフォンアンプとの接続、ということも考えて良いと思います。特に、静電型という、ドライバの選択肢が少ない中で、お気に入りのヘッドフォンアンプの個性を静電型のヘッドフォンと組み合わせられる、ということは(かなりマニアックですが)とても楽しめることだと思います。