HD800のレビュー (Sennheiser)
Sennheiserのフラグシップヘッドフォン、HD800のレビューです。
Sennheiserはドイツのオーディオメーカーでヘッドフォンやマイクでかなりのシェアを誇っています。世界を代表する音響機器企業の一つと言って良いでしょう。
そのSennheiserのフラグシップであるHD800は高級ヘッドフォンの代名詞とも言える存在で、ヘッドフォン売り場にこれが無かったらその店は見限って良いと断言できます。
King of reference?
音のバランスはかなりフラットで、特に不自然に強調されている帯域はありません。
低音域から高音までスムーズに音を奏でてくれます。
いわゆる、モニタライクな音の作り方ですが、無味乾燥というほどでもなく、心地よい聴かせ方も出来る万能選手です。
さすがに超低音はあまり出ませんが、ヘッドフォンである以上仕方がないことでしょう。
高域が少し煌びやかに感じますが、それが味となって金管や金属系の打楽器(シンバルやハイハット)などがかなり明瞭に聞こえます。
逆に木管や弦楽器の低音域はあまり得意ではないかもしれません。タイトで量も十分出ますが、心地よさという点ではやや劣る印象があります。
音、というか波形の再現性は非常に高く、とても原音に忠実であるように感じます。
かなり細やかな音も聞かせてくれるため、HD800を使うことで、今まで気が付いていなかった音に驚かされることもしばしば。
特筆すべきは広大な音場。
ヘッドフォンではなく、スピーカーで聞いているような錯覚を覚えるほど明瞭で見晴らしの良い音像を形成します。
逆に、例えばボーカルの声を間近で感じたい、というときには向いていないという面があります。
バランスの良さ、高い音の再現性、広大な音場、とヘッドフォンにおいて重視される要素をほぼ完璧に満たしています。基礎能力が非常に高く、まさにリファレンスヘッドフォンの代表格の一つです。
ちなみに、私がヘッドフォンを評価するときに基準として用いるのはこのHD800です。
外観・つけ心地・音漏れなど
非常に大きいです。スピーカーユニットが直径56mmもあるとのことで、現存するヘッドフォンの中では最大のものの一つでしょう。
しかしサイズの割に重量はそこまでではありません。また、つけ心地もかなりよく、長時間のリスニングでもストレスになりません。高温多湿な環境だとやや蒸れますが。
音漏れは開放型だけあってかなり激しいです。また、遮音性も無きに等しく、周りがうるさいと気になります。まあ、外で使うようなヘッドフォンではないので、問題になることは無いと思いますが……。
また、抵抗値が大きく能率が悪いため、通常のポータブル機器などでは音量が取れないことが多いと思います。
ケーブルが着脱可能で、バランス化したものも含め、多くのサードパーティ製のケーブルが発売されています。
HD800は非常に高いポテンシャルを秘めたヘッドフォンですので、アンプなど上流環境にそれなりのものを用意しないと、実力を引き出すのは難しいという欠点があります。しかし本領を発揮したときの音は、筆舌に尽くしがたいものがあります。
得意な音楽のジャンルなど
基礎能力が高いため、どんなジャンルでも問題なく聴けます。
お薦めとして、特にフルオーケストラのクラシックなどには非常に向いています。広大な音場と高い解像度を持つため、音数が多い音楽をリアルに楽しむ事が出来ます。
一方で音場が非常に広いために、ロックやパンクなどで縦ノリしたいときには向かないでしょう。また、ボーカルの声だけに注目したいようなときにも、フラットすぎて興を削がれる恐れがあります。
世界最高のヘッドフォンの一つ
と、書き連ねてきましたが、間違いなく世界最高峰のヘッドフォンです。今では数多く高級なヘッドフォンは出ていますが、その中でもかなり中心的な位置を占めています。機器としてのバランスの良さから、とりあえずこれを一台持っていれば、ヘッドフォンで困ることはないでしょう。
反面、やや特長に欠けるきらいがあるため、個々のジャンルにおけるベストマッチにはなりにくいかもしれません。
それでも、間違いなく世界最高の一台と言える名機です。
Sennheiser ゼンハイザー HD800 ダイナミック・オープン型ヘッドフォン
- 出版社/メーカー: Sennheiser
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