Blooming Wooing Audio

オーディオや音楽についてのblogです。手持ち機器のレビューやイベント参加感想など。

ヘッドフォン祭2016秋に行ってきました!

さて、半年に一度の祭典、ヘッドフォン祭2016秋に行ってきました。会場はいつもの通り、中野サンプラザ。アクセスの悪さはいつもの通り。

 

今回は11時過ぎに中野につきました。ちょっと並びましたが、すぐに会場入りできました。うーん、ちょっと来場者が減っている気がします。ブームが去りつつあるのか……?。

前回、課題だったiPod Classicとは実は既にお別れしておりまして、iPod Touchを導入しました。Classic非対応機種が増えてきているのですが、今回は問題なくブースを回れました。

物販では、前回何とか我慢したKSE1500をやっぱり買ってしまいました。こんなことなら半年前に買っていても同じだったかも? ちゃんとしたレビューはまた後日。

 

以下、気になったもの試聴レビュー。今回は実り多き秋だった気がします。

 

Sennheiser HE-1

さて、Sennheiser超弩級コンデンサ型ヘッドフォン(+ドライバ)HE-1をようやく聴くことが出来ました。お値段なんと5万ユーロ。

さすがに音質は抜群です。レンジと音場の広さ、帯域バランスの良さ、音色の綺麗さ、正確さ。どれをとっても最高級品です。

何というか、Sennheiserコンデンサ型で作ったらこんな感じだろう、というそのままでした。

 

同じコンデンサ型の名器であるSTAX のSR-009と比較すると、音の再現性、緻密さや、レンジの広さではほぼ互角の勝負だと思います。どちらもコンデンサ型らしい、繊細な音色で、基本的なスペックでは世界最高の2つでしょう。

差がつくのは音場の部分で、これはHE-1に軍配があがります。SR-009は音場の広さ、明瞭さはそこまでではなく、耳元に近いところで展開します。音場だけで言うなら、HD800やK812に比べると厳しい部分があるのは否めません。(それでも十分高いレベルですが)

HE-1はそのHD800を凌ぐほどの包み込むような音場感です。ヘッドフォンと思えないほど広く、位置も明確です。ただ、ドライバを合わせても価格差が10倍ほどありますが……。

 

おいそれと手が出せるお値段でないことはたしかです。しかし、紛れもなく、現時点で世界最高のヘッドフォンでしょう。

 

FOCAL UTOPIA / ELEAR

さて、こちらも高価格なヘッドフォン。ダイナミック型です。UTOPIAは実売50万円超、ELEARでも15万円以上するのではないでしょうか。整理券を貰って試聴してみました。下の感想は基本的にUTOPIAのものです。

 

開放型らしく、抜けが良い音がします。レンジはかなり広く、下から上まで癖がない感じです。音場もそこそこ広く、綺麗な音色。欠点が見当たらない。

 

かなりモニター寄りの音がします。余韻が少なく、かっちりとした音作り。ソースの音をそのまま正確に出すことにかけては、他に並ぶ物がないでしょう。いうならばMDR-CD900STの音色で基礎能力を極限まで高めた印象です。

 

価格に見合うのかというと、割と難しいところ。単体50万円だと、HD800とPS1000eとT1を買ってもお釣りがきてしまうわけで……。SR-009A + SRM-727Aでもまだ余る。うーん。そこまでの価値があるかと言うと……。でも、凄く良い音がします。

 

ELEARはUTOPIAに比べると、コストパフォーマンスは抜群に良いかと思います。(それでもHD800より高いですが)値段は1/3ですが、音質的にそこまでの差はないかと思います。

 

オーディオテクニカ ATH-LS400

オーテクの新商品、BA4基搭載のイヤフォンです。

BA型らしからぬ音がします。前の、CKR10のときも驚きましたが、オーテクはけっこうな変化球を投げてきますね。

基礎性能はお値段なり。バランス的にはかなりロー上がりな印象を受けました。低音が不自然に膨らんでいる事はないですが、かなり存在感があります。帯域はそこまで広くないので、フルオケとかだと少し厳しいかもしれませんが、ロックやメタルは楽しく聴けそうな印象でした。

 

Sony NW-WM1Z

さて、天下のsonyが出した、30万円のDAP。Qualiaを彷彿とさせますね。

さて、本体は3Nの無酸素銅から削り出した筐体に金メッキを施したそうで、大変重たいです。iPod Classic + SU-AX7より重たい。

ボディに銅や金メッキを使って、何の意味があるのか担当者に尋ねたところ、本体のグラウンドとして機能しているとのこと。静電容量を増やしたいそうです。その際に、外部からの電波を拾って電圧がずれないようにしたい、と。金メッキはサビ防止のため。銅は錆びますからね。

百歩譲って無酸素銅の本体は意味があるかもしれませんが、金メッキは効果があるとは思えません。サビ防止だけなら他にいくらでも安価なメッキが出来ますし……。通電する箇所に金メッキをするのは抵抗値の関係で理解できるのですが、外側に露出している部分に施しても、効果は不明です。ちなみに低価格モデルのNW-WM1Aはアルミのため、軽いです。

 

さて、肝心の音質ですが、決して悪くはありません。バランスはややロー上がり。レンジは広いですし、音のきめ細かさも特筆物です。操作性も良く、直観的に使えます。ハイレゾ再生はもちろん、バランス出力も可能。

1Aでも音質の差はあまり感じませんでした。単体でこの音質なら、十分候補に入ってくるレベルじゃないかと思います。

ただ一点、なぜか独自端子です。なぜ普通のMicro USBとかじゃ駄目だったのか。妙に無駄なこだわりを感じる製品でした。

 

DITA Dream

シンガポールのメーカー、DITAの新フラグシップモデル。またプロト品とのことでした。

AnswerやTruthと同じく、ダイナミック1基のシンプルな構成。最近の高級イヤフォンの流れでは珍しいですね。

音質はかなり魅力的です。ダイナミック型の特長である艶やかな音色と、高い解像度を両立しています。バランスもかなりフラット。レンジもかなり広めです。唯一無二のものでしょう。個人的にはかなり好みです。

お値段は2000USドル程度とのこと。シンガポールドルじゃなくて? と確認したのですが、USとのことです。かなり高価な部類でライバルはカスタムばかりの価格帯ですが、十分勝負になるクオリティだと思います。

 

Westone W80

高級イヤフォンの老舗Westoneの新フラグシップ。ユニバーサルモデルです。BA8基とのことで、Masonに次ぐほどの物量。

バランスはロー上がり。音域レンジがやや狭いです。が、特筆すべきはその音色。ヴォーカルがここまで魅力的に聞こえるイヤフォンはほとんどないと思います。声が生々しく、それでいて品がある。ヴォーカルが持つちょっとした表現を余さず伝えてくれます。

レンジの狭さが逆に中音域を引き立てているような印象です。ヴォーカル重視なら一、二を争うほど有力な選択肢になる機種だと思います。

 

GRADO GS2000e

GRADOの名器、GS1000の後継機とのことです。見た目は2000と1000でほぼ変わらず。

さて、音色ですが、良くも悪くも、高級ヘッドフォンっぽくなりました。GRADOと言えば、PS1000をはじめ、暴れん坊なイメージなのですが、GS2000eはGRADOらしさを残しつつも、全体的に纏めてきた印象があります。

完成度が高くなった反面、ポテンシャルは減った気がします。個人的にはPS1000とかのほうが、特長が出ていて好きですが……。

 

JVC Kenwood SU-AX01

さて、期待のHPAです。SU-AX7の後継機、SU-AX01。DAC内蔵ヘッドフォンアンプ。

機能的に、DSD対応。バランス出力対応が目玉。また、Androidに対応。あと、再生中に充電しながら使うと高音質化するという珍しい機能を搭載しました。同軸のデジタル入力がある点も珍しいです。筐体は少し大きく、重くなりました。

そんなわけで、期待しながら聴いたのですが、うーん。

はっきり言って、AX7と同じ音がします。まあ、試聴環境のソースがDSDではないし、下流もシングルエンドのK3003なので、新機能を全然生かせていないのは事実です。が、ソースとイヤフォンが同じだと、ほとんど同じ音です。Edition7とEdition9よりも近い。

ブースにいた技術の人とも話しました。アンプ部はディスクリートにしたとのことですが……。

まあ、時代に合った機能拡張といったところです。基礎的なDAC、アンプのクオリティについては買い替えたいと思うほどの変化は感じられませんでした。

ただ、今でも私はSU-AX7は素晴らしいポタアンだと思っています。十分、今でも有力な選択肢になる機種です。

 

KuraDa KD-FP10 響

前々から、変な形のヘッドフォンがあるなあ、と思いつつも試していなかったのですが、今回初めて試聴しました。なんとなく、イロモノ風味が感じられたからです。

とんでもありませんでした。

見た目に反して(?)装着感は極めて良好。音色は暖かく精密で、音場も広め。レンジも広く、バランスもフラットです。基礎性能がかなり高いモデルです。

なんというか、"The 高級ヘッドフォン" という感じです。弱点がなく、高いレベルでまとまっています。一方で、特長が薄いため、どんなジャンルでも聴けるけど、どれもそこそこな魅力になってしまいます。万能とみるか、器用貧乏とみるか。

とはいえ、かなり高い性能を持った、素晴らしいヘッドフォンであることは間違いありません。

 

その他

STAXのブースで話をしたところ、フラグシップのドライバを作ろうとしているとのことでした。007tAや727Aの上のモデルになるようですが、とんでもない値段になるのは避けたい模様。出るのが楽しみです。

 

またLUXMANのブースに行って、プリアンプの導入を検討していると言ったところ、DA-250をなぜか強くプッシュされました。DA-06を持っていると言っているのに。不思議です。

 

まとめ

そんな感じで、今回は非常に魅力的な新作が多かったと思います。特にHE-1、Dream、W80などは他と一線を画した特長を持っており、それぞれの色が出ていて面白かったです。

個人的にはついにKSE1500を買ってしまいご満悦です。