Blooming Wooing Audio

オーディオや音楽についてのblogです。手持ち機器のレビューやイベント参加感想など。

DA-06のレビュー(LUXMAN)

LUXMANDAC、DA-06のレビューです。

 

LUXMANといえば、言わずと知れた老舗のオーディオメーカです。特にアンプでは高い評価を得ていて、その艶のある音色はラックストーンと呼ばれています。

その老舗が、USB入力を備え、ハイレゾにいち早く対応したDAC、DA-200を発表し、PCオーディオに目を向けたのは、かなり意外なニュースでした。あまり、そういう胡乱な新しい分野に手を出すイメージではなかったからです。

 

DA-06はそのDA-200の後発として出されたハイエンドのDACです。PCMだけでなく、DSD音源にも対応した、本気でPCオーディオに目を向けた製品です。前から欲しかったのですが、ついに買ってしまいました。

 

ロゴ

 

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写真下部がDA-06。上に乗っているのがsa1.0

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スペック

入力はUSB1系統、COAX2系統、OPT2系統、バランス(AES/EBU)1系統ということで、DACとしては十分すぎるほど。前面のつまみで入力を切り替えます。

アナログ出力はアンバランス(RCA)とバランス(XLR)が1系統ずつ。同時に出すことが出来ます。

他にデジタルの出力がCOAX1系統、OPT1系統あります。使いませんけど……。

 

音質

早速、音を出して聴いてみました。環境はいつも通り、ヘッドフォンははX-HA1+HD800(バランス化)。スピーカーはsa1.0+NS-1 classicsです。

PCから音を出しました。USBケーブルはiFi AudioのGeminiです。電源はiUSB Powerから給電していますが、バスパワー駆動ではないので、ほとんど効果は無いでしょう。

一聴して、音の良さが判りますが、一般的に言われるラックストーンのような強烈な個性は感じません。ハイエンド機特有の、極めてハイレベルにバランスが取れた音色です。また、ノイズ感はありません。

音の分離が非常に高く、しかも線が細い音ではありません。艶やかさと精密さを高いレベルで両立させた、非常に上品でしかも鋭い音です。さすがは老舗のメーカとでも言うべきか、きちんと音作りをしていることが判ります。

バランスはかなりフラットですが、ゆるいかまぼこ形です。中音域の音色の綺麗さは特筆ものです。また、低音域は力感が感じられますが、決して下品に膨らまず、よく制動されているのが判ります。高音域は決してしゃりつかず、やや丸みを帯びている印象です。

音場は、極端に広いわけではないですが、かなり明確です。横幅もほどよく広く、奥行きが感じられます。

 

フィルタとソフトウェア

DA-06では前面のボタンでフィルタを3パターンから切り替えることが出来ます。1が普通の音色。2は少しモニタより。3が艶やかさを強調しているような感じです。個人的にHD800では3が一番好きですが、NS-1 classicsでは2の方が良いように感じました。

 

また、LUXMANのWebページから、専用の再生ソフトウェア、「Luxman Audio Player」がダウンロードできます。

経験上、再生ソフトで音質が変わると言うのは解っていましたが、ここまで激変するとは思っていませんでした。普段使いのFoobar2000と比べ、明らかに精密さが違います。

ただ、操作性はめっぽう悪いです。ライブラリ機能がないので、エクスプローラからD&Dして使うのが主です。まあ、ソフトメーカーではないので仕方が無いのですが……。もうちょっと頑張って欲しかった。或いは、Foobar2000からこちらのプレーヤーのエンジンを使って再生、とかが出来れば良いんですけど……。

 

Digital Link III(PS AUDIO)との比較

これまで使っていたDL IIIと比較してみます。まあ、価格差が二倍以上あるので、ちょっと勝負になりませんが……。

音の分離と音色の綺麗さでは比較になりません。特にDL IIIは線が細い音だと言うこともあって、力感の部分で大きく差が付きます。また、低音の量において、大きくバランスも異なります。

音場の横の広さはDL IIIの方が広いですが、明確さでは圧倒的にDA-06。

基礎能力の点で、大きく水が開いているのは否定できないところです。値段も発売時期も全然違うので仕方が無いところではあるのですが……。それだけDA-06が素晴らしい機種だということは確かです。

 

DDCの有無による違い(iLink)

DA-06はもちろんUSB入力だけではなく、光や同軸も受けることが出来ます。PCからの再生ですと、専用のDDCを使うとどう変わるのか気になるところです。元々使っていたiFi AudioのiLinkを使った場合と、PCM音源で比較してみました。

どちらにせよ、USBケーブルはiFi Gemini With iUSB Power。同軸デジタルケーブルはAVCTの4C-XEWを使用しました。

 

僅差ですが、DA-06に直に入れた方が良い音がします。音の分離の違いを少し感じます。音色やバランスでは差が判りませんでした。本当に小さな差ですが、USB入力にもかなり気を遣っているのが判ります。

 

ただ、これはDA-06にはLuxman Audio Player、iLinkではFoobar2000を使ったときの差だという点には注意が必要です。両方ともFoobar2000から出したときには、違いを感じませんでした(ただし、iLinkではDSDがネイティブで再生出来ませんが)

つまり、機器の差よりは、ソフトウェアの違いと言った方が正確かも知れません。

 

ちょっとした問題点

さて、ここまでかなり褒め称えてきましたが、DA-06 にも難点があります。

ひとつは、ロックするときにカチカチと音がすること。特に、PCから音を出している場合、1曲ごとに音が鳴るので、少し気になります。

もう一点、かなりニッチな悩みです。私はPCでテレビも見ているのですが、DA-06にUSBで音声出力出来ません。著作権保護に引っかかっているようです。まあ、まさかLUXMANの設計者も、25万のDACにUSBからテレビの音を入れるとは思っていなかったのでしょう……。仕方が無いので、再生ソフトを立ち上げる前に、他のデバイスに切り替え、同軸でDA-06に入れています。手間なのでなんとかなると良いのですが……。

 

総評

PCでオーディオをやっている人にとっては、ひとつの到達点となるDACではないかと思います。もちろん。DSDをはじめとするハイレゾ対応、機能の豊富さがまず目に付くところです。

しかし、このDA-06の最大の素晴らしさは、基礎性能の高さにあります。ソースがどんなに高密度であっても、やはりそれを生かせなければ意味がありません。その点において、DA-06は一切の手を抜いていません。新しいフォーマットに対応しつつ、今まで培ってきたノウハウを生かした基礎性能も損なわない。まさに新時代に相応しい最高のオーディオ機器だと言えるでしょう。