Blooming Wooing Audio

オーディオや音楽についてのblogです。手持ち機器のレビューやイベント参加感想など。

SP-12P-PCUHDのレビュー(AVケーブルテクノロジーズ)

AVケーブルテクノロジーズのスピーカーケーブル、SP-12P-PCUHDのレビューです。こちらもハイレゾ対応を謳っています。線材も、名前が示す通りPCUHDです。

製品写真を見ると判りますが、スピーカーケーブルの内部に12本の線材が平衡に入っています。並列に伝送しているケーブル構造は時折目にしますが、12本となると聞いたことがありません。

 

試聴環境はいつもどおり、NS-1 classicsとsa1.0のコンビ、だったのですが……。

 

接続に一苦労……

さて、12本の線材、音を出す以前に中々のくせ者であることが判明します。スピーカーケーブルとは思えない直径。下手な電源ケーブルくらいの太さがあるうえに硬さもかなりのもの。Y端子がついているものの、スピーカー端子に取り付けるまでが一苦労。

重さもあるので、スーパーツイーターに使おうなどと考えてはいけません。間違いなく宙に浮きます、ツイーターが。まさか、そんなことを考える人がいるとは思えませんが……。

 

素晴らしすぎるケーブル?

苦労しながら取り付けて、ようやく音出しです。

AVCTらしく、帯域バランスの良い音です。最低音から最高音まで滑らかに伸びていて、悪目立ちするような強調感もなく、非常に高いレベルで自然な音です。

特に、ハイレゾ対応を謳っているだけあって、超高音の音色は筆舌に尽くしがたいものがあります。ハイハットやシンバルなどの、普通なら耳に刺さってくるような音域のものでも、ナチュラルに”音がそこにある”ような感じを受けます。ヴォーカルのサ行が痛い感じもありません。高音が出ているのに上品、というのは中々貴重です。

分解能・音の綺麗さは文句のつけようがありません。もちろん、NS-1 classicsの特性あってのものですが、それでも高いレベルであることは疑いようのない事実です。

 

と、いうことでかなり満足して聴いていたのですが、途中で気が付きました。超低音があまり出ていないような気がするのです。中音域・高音域が非常に高品質であるからこそ、気が付いたことです。

 

ヘッドフォンなどとも聞き比べ、少し考えた結果、どうもこれはスピーカーの限界である、という結論に達しました。使用しているNS-1 classicsはブックシェルフ型で、ユニットの直径が16cmしかありません。やはり、低音を鳴らすのはあまり得意でないモデルなのです。

 

友人のところに持ち込み

そこで、オーディオルームを持っている知り合いの所に持ち込みました。友人のシステムに接続して聴いてみたのです。

環境としてはMarantzのCDPとアンプ(SA11とPM11だと思います、世代は聞いていません)、スピーカーはFostexのユニット(モデルは聞いていません。直径50cmくらい)を使った自作でかなり大きいです。

 

本領発揮

音を出してみると、圧倒的な差でした。私のシステムでは出ていなかった超低音域までしっかり出ています。それも、バランスを保ったまま。生音かと思えるほどの圧倒的な音質。分解能、音の綺麗さ、定位の良さ。すべてがパーフェクトに近い音質でした。

つまり、本来の意味での役不足だったのです。私の環境の方が、ケーブルに見合っていなかった。ちょっと書斎や寝室で聴きたい、程度の環境では物足りません。しっかり専用のオーディオルームを備えているくらいの物が必要です。

 

総評

はっきり言って、危険なケーブルです。使う人を選びます。取り回しの悪さもありますが、それ以上に、他の機器が持っている癖を明らかにしすぎてしまうケーブルです。

スピーカーやアンプ、DACなどの傾向・弱点が赤裸々に明かされます。今までなんとか誤魔化されてきた箇所が、白日の下に晒されるわけで、さらなる散財スパイラルのきっかけになってしまいそうな危険性を秘めています。

実力的には折り紙付きですが、購入するなら、それなりの覚悟を持っていないとお薦めできません。