Blooming Wooing Audio

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Edition9のレビュー(ULTLASONE)

Ultrasoneの密閉型ヘッドフォン、Edition9のレビューです。

 

Edition9は2006年に限定500台で発売になった当時のフラグシップヘッドフォンです。当時としては異例極まりない定価20万円超えだったのにも関わらず、最終的には1000台以上生産されたとのことで、人気の程が窺えます。

シリアルナンバが記載されていますが、私の物は100番をちょっと超えた辺りです。個人的に好きな数字なので、微妙にお気に入りです。

すでに生産終了しているので、新品を手に入れるのはもはや不可能です。中古も滅多に出ないようで、ときには定価よりも高く取引されていることすらあるようです。その実力もあって、かなり貴重な逸品です。

 

Edition9の音質

良い意味で他に類を見ない音です。基礎性能は非常に高く、分解能、解像度、帯域の広さともにヘッドフォンとして最高峰に位置しています。

密閉型だけあって、音場はやや狭めです。そのためフルオケのクラシックなどには向きませんが、打ち込み系やロック、パンク、メタルなどには最適でしょう。とても濃い音が楽しめます。

バランスとしてはややドンシャリ系。音が硬く、高音は少し刺激的です。大人しく楽しめるタイプではありませんが、バンドサウンドなどではそのノリの良さを楽しめます。

 

 

さて、Edition9の最大の特長は音の太さと分解能の両立です。高解像度を誇るヘッドフォンの場合、モニタライクとでもいうべきか、音の線が細いヘッドフォンが多いです。分解能は高いものの、音の迫力や勢いという点において、やや弱いのは仕方が無いことです。逆に勢いが感じられるヘッドフォンの場合、ある程度分解能を犠牲にしている面があるように感じられます。

しかし、Edition9はおそらく、世界で唯一、音の太さと分解能を両立させたヘッドフォンです。聴いていてノリノリで楽しめる迫力を持ちながら、聞き込めばどこまでも応えてくれる高い分解能を保持しています。これは発売から数年が経過した今となっても、ほかのどんなヘッドフォンも為し得ていないことです。

 

結果として、Edition9は世界最高の低音を鳴らすことの出来るヘッドフォンです。超低音まで沈みきる帯域の広さ。迫力を持ちながら、繊細な部分まで描き出す音の再現性。ここまで綺麗で、しかも楽しめるベースラインを出せるヘッドフォンは他にありません。まさに、世界最高の低音。これ以上の物は現状ありません。

 

Edition9の特性

密閉型でインピーダンスが低く能率が良いため、その気になれば外で使うことも可能です。

また、他の高級ヘッドフォンに比べ、環境をあまり選ばないことも特長の一つです。アンプやプレーヤーの影響が比較的少ない機種です。どんな環境でも、「Edition9の音」になるといって過言では無いほどの、個性的なヘッドフォンです。

 

 

HD800との比較

リファレンスとして使用しているSennheiserのHD800と比較してみました。

解像度はほぼ互角かややHD800が優勢です。音場もHD800の方が広く、帯域バランスもフラットです。再現性もHD800の方が高いでしょう。

などと書くと、圧倒的にHD800の方が優れているように感じられます。たしかに、総合的な基礎性能で現状、HD800は最高峰です。Edition9も十分すぎるほどに優秀ですが、基礎性能においてはさすがに分が悪い。

 

しかし、Edition9は唯一無二の特長を持っています。最高のヘッドフォンではないかもしれません。しかし最強のヘッドフォンなのです。

オールマイティに使うのならばHD800を選ぶべきでしょう。しかし、この低音。そして迫力と繊細さの同居。この二点だけで、HD800をも上回れるほどの魅力を備えています。

 

総評

最高の低音を奏でる、世界最強のヘッドフォンです。もし、一台だけヘッドフォンを買うならEdition9はお薦めしません。得手不得手がはっきりしていますし、性能的にもっと良い機種は存在します。

しかし、その特長と魅力を理解すれば、これ以上のヘッドフォンはありません。二台目、三台目として、存分に力を発揮してくれる異端な天才です。

 

 

ULTRASONE ヘッドフォン edition9 密閉ダイナミック型

ULTRASONE ヘッドフォン edition9 密閉ダイナミック型