HD800のバランス化 (Sennheiser)
Sennheiserのヘッドフォン、HD800をバランス化しました。
HD800はケーブルが着脱式なので、容易にバランス化が可能です。そのため、Moon audioやサエクなどの交換用ケーブルが多く出ています。また、昨年にはSennheiser自身からもアンプと合わせて交換用ケーブルが出ました。(ただしこちらはアンプ側のコネクタが違うため、私の環境では使えません。)
もちろん、こうしたサードパーティ製の物を購入しても良かったのですが、今回は自作に挑戦してみることにしました。
ケーブル自作に必要な物
まず自作に必要な材料を準備します。まず、高品質なケーブルが必要ですが、ヘッドフォンに使う以上、ある程度細くて取り回しが良い物を選ぶ必要があります。そこでAVケーブルテクノロジーズのUT-1Q-MKⅡを使用することにしました。音質が素晴らしいことに加え、細さも取り回しも申し分ありません。また、中に4本の導体が入っているので、バランス化には過不足無くぴったりです。
次にコネクタです。アンプ側はXLRコネクタ(オス)が2つ。物置を漁っていたらヒロセ電機製のものが出てきたのでこれを使うことにしました。
問題になるのが、ヘッドフォン側のコネクタです。Sennheiserの独自規格であるうえに、HD650などとは互換性がありません。また、公式に販売もしていません。なのでALOのサイトから個人輸入しました。大体$50くらいですが、他に送料もかかります。
その他に半田付けが必要になります。オーディオ用の銀が配合されたものを選びました。融点が高く作業はやりにくいですが……。他に熱収縮チューブや絶縁テープがあると良いでしょう。
自作作業
ケーブルの両端にコネクタを半田付けするだけです。……するだけなのですが、とんでもない難物でした。
今までに何度か作業したことがあるのでXLRのコネクタは問題ありません。
しかし、ヘッドフォン側のコネクタは、とにかく小さい。線材の直径が0.4mm以下でないと、もの凄い苦労を強いられます。また、コネクタの距離が近いので、何かで絶縁しておかないとすぐにショートしてしまいそうで怖いです。結局、作業が全部終わるまで3時間以上かかりました。
音質
さっそく、オリジナルのケーブルと聞き比べて見ました。K701をバランス化したときにも思いましたが、バランス化によって、大きく特性が変わることはありません。やはり音質を決定する要因として、スピーカーユニットの比重が圧倒的に大きいのでしょう。ケーブルを替え、駆動方式を変えても、やはりHD800の音です。
しかし、実力の底上げという点では非常に大きな効果がありました。これはケーブルの特長も大きく出ていると思うのですが、かなりハイレンジになりました。ヘッドフォンにしては考えられないほどに超低音まで沈み込むようになりました。中~高音域はそれほど目立つ変化はありません。
また、ノイズ感が大きく減少しました。バランス伝送はアンバランスに比べ、対ノイズ性が強いので、当然の変化と言えます。
最大の変化は音の定位です。アースが分離したおかげでしょうか、左右の音の分離がはっきりとよくなりました。音がどこで鳴っているのか、かなり明確です。特に、バイノーラル録音のソースを聴くと、はっきり違いが判ります。
総評
自作作業はとにかく大変でした。知り合いに作業が上手な人がいたら、おまかせした方が良いかも知れません。
しかしその苦労に見合うだけの変化がありました。HD800はオリジナルでも屈指の実力を持ったヘッドフォンですが、バランス化によってさらに頭一つ抜け出たような印象があります。
せっかくこんな素晴らしいヘッドフォンなので、可能ならば是非バランス化に挑戦するべきだと思います。
Sennheiser ゼンハイザー HD800 ダイナミック・オープン型ヘッドフォン
- 出版社/メーカー: Sennheiser
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