iLinkのレビュー (iFi Audio)
iFi AudioのUSB-DDCであるiLinkのレビューです。
そもそもUSB-DDCとは?
DDCとはDigital to Digital Converterの頭文字で、USB端子からDigital信号へと変換するための機材で、PCオーディオには欠かせません。しかし、最終的にスピーカーやヘッドフォンから音を出すためにはアナログ信号でなければならないため、DDCの下流にはDAC(Digital to Analog Converter)が必要となります。
iLinkはWindowsでもMacでももちろん使用可能で、192kHz 24bitまで対応しています。また、Macで再生ソフトとしてAudirvana plusを使っている場合、Integer modeを使用することも可能です。
最近はUSB入力を備えたDACが増えてきており、DDCは姿を消しつつあるように思います。しかし、ノイズの低減やジッターの低減を考えるとDDCを間に挟むことは音質の向上に大きく寄与します。
iLinkの導入前はDDCにM2 TechのHi-faceを利用していたのですが、昨年にこちらに乗り換えました。
iFi Audioというメーカーについて
iFI Audioは英国の高級オーディオブランド、AMRの普及価格帯向けブランドの名称です。実際、Windows PCにiLink用のドライバをインストールすると、デバイス名は「AMR USB Audio2.0」になります。新興のメーカーではなく、歴史ある由緒正しいブランドの一部門だと考えると良いでしょう。
iLinkの仕様
入力はUSBのみでバスパワーで駆動します。出力はRCAのコアキシャルが2種類と、光デジタルが1つついています。サイズはかなり小さく(文庫本を半分にしたくらい)、置き場所にも困りません
RCAが二つついているのは、電圧を2種類用意しているためです。電子機器にはインピーダンスというものがあり(抵抗みたいなものです)、本来、信号を遣り取りする場合、出力と入力それぞれの機器のインピーダンスがあっていないといけません。なので、どんな下流側の機器にでも対応出来るよう、電圧の異なる出力端子を2種類用意したそうです。
ちなみに私は聞き比べた結果、電圧が高い方を使用しています。
また、ジッター除去技術として「JET」なる機能が搭載されています。スイッチでon/offの切り替えが出来ますが、違いはあまり大きくないと思います。
音質について
普段はPCからiLinkを通してDAC(PS AUDIO Digital Link III)へと繋いでいます。USBケーブルは同じiFiのGemini(0.75m)で、デジタルケーブルはAVケーブルテクノロジーズの4C-XEWです。
iLinkを使用すると、直接PCからDLIIIに繋いだときに比べ、確実に音が向上しているのが判ります。今回レビューのために聞き比べてみたところ、あまりに違いすぎるので驚きました。
直接接続に比べ、ノイズ感が圧倒的に少なく、分解能がかなりアップし細かい音の表現まで聞き取れるようになります。音のバランスはかなりフラットで、下から上まで不自然に強調されることなく、滑らかな音質が得られます。
Hi-faceとの比較
同じDDCであり、価格も近いM2 TechのHi-faceと比較してみました。
一番大きな違いは音の細やかさです。Hi-faceを使っていた頃にはとても満足していたのですが、iLinkに変えたところ、音の表現力のあまりの差にびっくりしました。恐らく、ノイズが減りジッターが除去されたことで波形の再現性が高まった所為だと思います。
一方で、バランスについてはHi-faceの方がややかまぼこ形で、音楽的であるように感じます。中音域を何より重視する場合にはこちらの方が向いているでしょう。
総評
USB-DDCとして、かなり優秀です。
PCから音楽を聴くに当たって必要な機能はほとんど備えていますし、安定性も高くトラブルもありません。何より、基礎的な性能が非常に高いように感じます。ジッターの少なさ、ノイズの入り込みの無さ、など一つ一つのことに細かく対応しながら設計したことが窺えます。
DDCの選択肢として、一番に挙げてもいい機種だと思います。
iFi Audio 「iFi micro iLink」据置型 USB DDC(デジタル-デジタルコンバーター)
- 出版社/メーカー: iFi Audio
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