Blooming Wooing Audio

オーディオや音楽についてのblogです。手持ち機器のレビューやイベント参加感想など。

SRM-727Aのボリュームバイパスレビュー(PM-15S1をプリアンプ利用)

STAXのドライバ、SRM-727Aをボリュームバイパスで使用したレビューです。

プリアンプとしてMarantzのPM-15S1を使用。イヤースピーカーはSR-009Aです。DACLuxmanのDA06、ということで毎度の環境です。

 

前回の記事で書いたとおり、秋のヘッドフォン祭 2015でSTAXのSR-009AとSRM-727Aをセットで購入しました。恐らく、現状手に入るヘッドフォン環境としては最高クラスのもので、かなり満足していました。

 

SRM-727Aのボリュームバイパス機能

しかし、SRM-727Aにはボリュームをパスする機能がありまして、あまり評判のよくないボリューム部分をスルーすることができます。前段にプリアンプを繋いでボリューム調整をし、SRM-727Aをパワーアンプのみとして使うわけですね。

そんなわけでプリアンプを導入しようと思ったのですが、現状プリメインとして利用しているSoulnoteのsa1.0をスピーカーと併用するためには、毎回繋ぎ替えることとなり現実的ではありません。かといってスピーカーを使わないわけにもいきません。

 

プリアンプとしてのPM-15S1

そこでMarantzのPM-15S1を知り合いから譲り受け、プリアンプとして繋いでみることにしました。少し古い型ですが、アナログ機器で技術的にも枯れていますし問題はないでしょう。ちなみにPM-15S1にはスピーカー端子への信号をカットする機能がついていて、繋ぎ替えずともこれ一台でスピーカー用プリメインとヘッドフォン用プリアンプとして使用できます。

ま、sa1.0を気に入っているので、結局使い分けていますが。

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ボリュームバイパス設定と接続

SRM-727Aのボリュームバイパス機能を有効にするためには、ケースを開ける必要があります。付属の六角レンチで側面のネジを4カ所開け、内部のスイッチを切り替えます。取説にちゃんと記載されているので問題ないでしょう。設定が終わったらケースを元に戻します。

PM-15S1のプリアウト端子からSRM-727Aのアナログインに繋ぎます。PM-15S1にはRCA端子しかないため、アンバランスでしか接続できません。ケーブルはAVCTのST-1Q-PCUHDを使用しました。

なんとなく怖いのでPM-15S1とSRM-727Aのボリュームを両方とも限界まで下げた後、スイッチを入れます。音を出してから、ボリュームを調整。PM-15S1のボリュームを上げると、音が聞こえて来ます。SRM-727Aのボリュームを幾ら回しても音量に変化はありません。無事、接続は成功。

 

音質

さて、肝心の音質です。

元々のSRM-727A → SR-009Aでも、十分過ぎるほど高い音質を得られていたのですが、さらにパワーアップしました。一聴して違いが解るほどの変化です。

一番大きく変化したのは低音の質感です。SR-009Aは元々制動が良いヘッドフォンですが、さらに精密さを増した印象があります。中音~高音についても、音の滑らかさがさらによくなりました。ただでさえ綺麗な音色がさらに一皮剥けたような感じです。

バランスについては変化していないように思います。音場についてはさらに横に広がりました。身体全体が包み込まれているような感覚です。

 

総評

全体的に音は良くなりました。ただ、ある程度以上のプリアンプで無いと逆効果になるような気がします。逆に言えば、PM-15S1よりさらにランクの高いプリアンプを使用することで、さらなるレベルアップをする可能性もあります。

とはいえ、投資をするとしたら最後になるでしょう。SR-009A、SRM-727Aと高レベルのDACがあって、そこからさらに、と言う方向けだと思います。

 

MARANTZ プリメインアンプ PM-14S1FN

MARANTZ プリメインアンプ PM-14S1FN

 

 

SR-009 + SRM-727Aのレビュー(STAX)

STAXのフラグシップイヤースピーカ、SR-009と専用ドライバSRM-727Aのレビューです。

 

STAXコンデンサ型のヘッドフォンで有名な日本のメーカーです。(今は中国資本になったとのことですが)STAXコンデンサ型ヘッドフォンのことを、イヤースピーカーと称しています。一般の、ダイナミック型とは違うぞ、との矜持でしょうか。

 

先日の記事に書いたとおり、秋のヘッドフォン祭でメーカ調整品が売っていたので、SR-009を買ってしまいました。セールになっていたSRM-727Aも同時に購入。衝動買いとでも言うのでしょうか。

 

SR-009はSTAXのイヤースピーカの中ではフラグシップのモデルとなります。長らくΩIIとして人気を博していたSR-007(A)のさらに上をいく最高峰の音質で、STAX製品に限らず、現存するヘッドフォンの中でも一二を争うレベルでしょう。

以下のレビューの環境は、PC→DA-06→SRM-727A→SR-009となります。DA-06とSRM-727Aの間のケーブルはAVCTのST-1Q-PCUHDを使用しました。また、電源ケーブルも変更しています。

 

コンデンサ型ヘッドフォンのメリットとデメリット

ついこの間まで、コンデンサ型のヘッドフォンメーカとして製品を世に出しているのはSTAXくらいだったと思います。Shureコンデンサ型のイヤフォンを出すと発表してちょっとびっくりもしましたが。

よく言われるメリットとしては、振動板が軽く、音の再現性が高いことです。

一方、デメリットとしては、専用のドライバユニットが必要なことでしょう。プレーヤに直で繋ぐだけでは音が出ないので、間に機器が一つ増えることになります。ポータブル用途ではそれだけで影響が大きいですし、据え置き型でも、各社互換性が無いと考えると、導入するにはかなり勇気が必要でしょう。

 

SR-009の音質

音質としては最高です。

それ以外の言葉が見つからないほどです。

何より特筆すべきは繊細さ。音の再現性は極めて高く、楽器や声が瑞々しく伝わります。本当に、生音と聞き間違えるようなレベルです。ここまでのレベルはヘッドフォン・スピーカーを合わせても聴いたことがありません。

バランスは完全にフラット。どこも強調されていません。低域から高域まで滑らかに出ます。また、超低域もヘッドフォンと思えないほど沈み込みますし、高音もシャリつかずに伸びきります。まさに「フラットで広帯域」を体現しています。

音場も広く、横幅も奥行きも感じられます。ヘッドフォンの中では最高クラスでしょう。横幅に関しては、HD800のバランス接続に比べるとさすがに分が悪いですが。

SRM-727Aとの接続ですと、どこかで「究極の普通」と書かれているのを見たことがありますが、言い得て妙だと思います。特長は強くなく、けれど最高の音です。

 

 

SR-009に接続するドライバ

STAX製のドライバなら基本的に互換性がありますが、SR-009に繋げるとなると、SRM-007tかSRM-727Aのどちらかというのが一般的でしょう。ちょうどヘッドフォン祭に出店していたSTAXのブースで、SR-009を繋ぎ替えて購入を決定しました。

SRM-007tは真空管抵抗です。中音域から高音域にかけて非常に華やかな印象があります。低域も少し膨らむ感じがします。音楽的にとても魅力的である一方、ややノイジーに感じることもあります。

SRM-727Aは石の抵抗です。こちらはかなりフラットな印象。ノイズ感も少なく、特長がまったくないと言っても過言ではないほどの薄味です。また、ボリュームをスルーすることが出来ます。

ブースで両方を試聴し、SRM-727Aを選択しました。007tの高音が少しわざとらしく感じたのと、全体的にフラットな音質が好きだからです。しかし、これは好みの問題かと思います。

 

総評

世界的に見て、一二を争うヘッドフォンだと思います。再現性をはじめとした基礎能力で群を抜いています。一方、特長が薄いため、キャッチな魅力では無いかもしれません。しかし、一時期納品まで半年以上待たされていた、とのことですから、矢張り魅力は伝わっているのでしょう。

コンデンサ型であるため、専用ドライバが必要となり、導入への障壁は高いのですが、それだけの価値があると思います。

 

 

STAX(スタックス) 静電型イヤースピーカー SR-009

STAX(スタックス) 静電型イヤースピーカー SR-009

 
STAX ドライバーユニット SRM-727A

STAX ドライバーユニット SRM-727A

 

 

ヘッドフォン祭2015秋に行ってきました!

もう毎度のことですが、秋のヘッドフォン祭りに行って来ました。場所はいつも通り中野サンプラザ。いつも通り、エレベータは大渋滞です。

 

今回は開場時刻、11時頃に中野に到着しました。めぼしいものはすぐに売り切れてしまうだろうと思いながらも、一応物販の整理券を貰っておきます。

会場をぶらぶらしていたら整理券の集合時刻になったので、物販会場に行ってみると、なんとSR-009のメーカ調整品がまだ残っていました! しばし悩んだものの、結局買ってしまいました。SRM-727Aと一緒に。衝動買いって怖いですね。すごい出費です……。

 

 

さて、以下気になった商品試聴レビュー

Shure KSE1500 / SHA900

さて、高級イヤフォンの先駆け、Shureからなんとコンデンサ型のイヤホンの登場です。コンデンサ型なので、もちろん専用のドライバが同時発売です。こちらはポータブル対応、DAC内蔵です。Shureと言えばBA型という印象だったので、意外な発表でした。

さて、並んでKSE1500を試聴しようと思いましたが、SHA900も含めiPod Classicには対応していないとのこと。そのため、SU-AX7のアナログ出力から、Line inでの試聴となりました。やはり、Classicはそろそろ引退ですかね……。あと、ブースの人からiphoneをお借りしてデジタル入力も試してみました。

 

音質的には素晴らしいの一言です。イヤフォンでこの音質はちょっと他には存在しないと思います。手持ちのK3003 + UM56よりもはるかに上です。

バランス的には既存のShureっぽさはあまり感じませんでした。SE846やSE535は音色は魅力的なのですが、低音が膨らんで高域の伸びが今一つな感じが好きで無かったのですが、KSE1500に関しては上から下までかなりフラットで、帯域もイヤフォンと思えないほど広いです。

音色も非常に魅力的で、かなり繊細な印象を受けます。音場もイヤフォンにしては広め。奥行きはそれほど感じませんが、左右は広く、明確です。

 

恐らく、現状で最高のイヤフォンだと思います。もちろん、お値段もけっこうなものですが、それに見合った音質だと感じました。

 

FitEar Air

カスタムの老舗、FitEarから、ハイブリッド型が発売となりました。FostexのダイナミックドライバとBA型1基の構成とのことです。

個人的な印象ですが、ダイナミック型は音色が豊かで魅力的ですが、帯域の狭さ、音場の不明瞭さがネックとなります。一方、BA型はマルチドライバにより、レンジの広さはカバー出来ますが、一つ一つの音色は薄っぺらいものになりがちです。

K3003以降、ハイブリッド型のイヤフォンが市場にいくつも出てきましたが、それぞれのドライバの強みを生かせている機種は少数であるように感じます。やはり調整が難しいのでしょうか。

 

しかし、今回のAirはかなり好印象です。全音域において、ダイナミック型の豊かな響きの音色が楽しめます。また、ダイナミック型だと、たとえば、IE8やDita のAnswerであったような、やや高域の伸びが足りない印象があったのですが、そこをBAのユニットで上手くカバーしているように感じます。音場の広さも、まずまず良好で、明確さは出色の出来。

価格帯も、カスタムでありながら、K3003と同程度ですし、ベストセラーになるのではないでしょうか。それだけの実力を秘めていると思います。

 

さて、今回はこの2製品の印象が非常に良く、実りの多いフェスティバルだったと思います。後は、配送してもらっているSR-009 + SRM-727Aが届くのを待つばかりです。

 

 

UM56のレビュー(Westone)

Westoneのカスタムイヤーチップ、UM56のレビューです。

 

Westoneと言えば、カスタムIEMで有名な老舗メーカです。昨今のイヤフォン熱の高まりと共に新規参入するメーカも増えてきましたが、実績という点で、Westoneを上回るところは無いでしょう。

 

そんなWestoneが出しているのがUM56です。これはイヤフォンでは無く、カスタムイヤーチップです。つまり、カナル型イヤフォンの耳に入れる部分だけを、耳に合わせてオーダメイドで作成する物です。

 

一般的なカスタムIEMに比べ、耳に入れる部分のみだけであるため、装着感や遮音性に関しては若干劣るかと思われます。一方、大抵のカナル型イヤフォンで使用できるため、ユニバーサル型のお気に入りがある場合には、非常に魅力的な選択肢になります。

 

作成まで

さて、そんなわけでお気に入りのK3003用にUM56を作成しました。お店に行って、耳型を取り、その場でオーダしました。耳型を取る際に、口を開け閉めすると、耳の中が動いてしまうらしく、何かを咥えたまま、五分ほど待ちます。なるべく口を開けて取った方がフィット感は良くなる、と説明を受けて、大きめの塊を咥えてとりました。

 

オーダメイドだけあって、納品まで1ヶ月ほどかかりましたが、仕方が無いところでしょう。その場でざっと装着感などをチェックしましたが、特に問題は感じませんでした。

 

装着感など

いままで使っていた、K3003+Spiral dot (L) 環境との比較です。

 

装着感は、やはり圧倒的に良いです。耳にしっかりフィットしていて痛くも無いし、激しく動いてもずれません。また遮音性も抜群に良く、音漏れもまったくありません。これだけでも買う価値があるくらいです。

逆に、外の音は殆ど聞こえなくなるため、安全には注意が必要そうです。また、装着にはややコツが要ります。

 

音質

肝心の音質です。全体として上品になるようなイメージでしょうか。

バランスとしては、Spiral dotに比べ、ロー上がりになります。ただブーミーに膨らむ感じは受けません。高音は全体的に量は少なくなりますが、抜けが悪くなることはないです。K3003の良い部分を伸ばしつつ、弱い部分も補ってくれる印象。

音の分離・波形の再現性はかなり向上します。元々、K3003は分離の良い機種ですが、さらに磨きがかかる印象です。

音場に関して定位も明確になりますが、左右の広がりはやや狭まります。逆に奥行きは少し広がった印象。鼓膜に近づくからでしょうか。

 

 

総評

まず、音質以外の装着感・遮音性だけでかなり快適になります。また、音質については、使う機種との相性も大きいとは思いますが、かなりのレベルアップが見込めます。

ただ、UM56はそれなりのお値段なので、元々が良いイヤフォンで無い限り、選択肢にはならないでしょう。イヤフォン自体をグレードアップした方が、大抵は効果は大きいと思います。

ユニバーサルのフラグシップモデルでお気に入りがあるなら、是非作るべきだと思います。

iPurifierのレビュー(iFi Audio)

iFiのUSBノイズフィルタ、iPurifierのレビューです。

 

以前、USBケーブルで音は変わるのか?と題して記事を書きました。その後、iUSB PowerGeminiのレビューも掲載しましたが、今回はそれに続き、iFi製品のUSB関連機器のレビューです。

 

実は先月、シンガポールに出張に行く機会があり、その際に買ってきたものです。iFi製品はシンガポールの方がかなり安く、iPurifierについても、日本の最安値より5000円ほど安いです。しかも、免税措置も受けられるため、さらにお得です。

 

結論から言うと、それなりに効果はあります。

試聴環境は

PC → Gemini (+iUSB Power)→ iPurifier → DA-06 → X-HA1 → HD800(バランス化)

となります。

 

使用方法

ただのフィルタなので、USBケーブルと機器の間に挿すだけです。と、いうか、こんな機器があるなら、Geminiにデフォルトで備え付けてくれれば良いと思うのですが。ちょっとあざとい?

 

音質の変化

さて、具体的にどう変わるのかというと、音の明瞭性のアップです。細かい音が聞き取れるようになりますし、音場も明確になります。みずみずしさが増し、リアル感が出てきます。

ただし、効果の程はやはりアクセサリー並です。スピーカーやDACを変えたときほどの変化は出ません。あくまで、ちょっとブラッシュアップしてくれる、程度です。まあ、繋ぐ先がDA-06というしっかりした電源を持つ機器なので……。

 

 

ノイズ感の現象?

「ノイズフィルタ」という名称なので、ノイズ感が減少するかと思っていましたが、あまりそういう効果は出ません。(元々ノイズの少ない環境だと言うこともあると思いますが)フィルタでノイズ感が減少するのは恐らく、アナログ段の部分でしょう。バスパワーで駆動するDACなどに使用すればそういう効果も出るかも知れません。

 

総評

よく出来たアクセサリーです。ピントがしっかりと合うようなイメージでしょうか。波形の再現性が高まります。

PCオーディオを構築している人は、使ってみるべき機器だと思います。

 

iFi Audio iPurifier

iFi Audio iPurifier

 

 

ヘッドフォン祭2015春に行ってきました!

昨年に引き続き、ヘッドフォン祭に行ってきました。会場は相変わらず中野。毎回のように苦言を呈していますが、上層階はイベントを行うことをあまり想定していないため、エレベータの台数が限られ、入退場はかなり不便です。国際フォーラムとかでやってくれないでしょうか……。主催者的に中野でやりたい気持ちも解るのですが。

LUXMANのブースで、DA-06にテレビの音が出ないことも伝えてきました。対応することはないと思いますが……。

 

今回も印象に残った製品をレビューします。色々聴いたので、長くなってしまいますが。

 

Pioneer SE-Master1

今回最大の目玉展示でしょう。試聴の列もずっと並んでいました。DAC/HPAのU-05とバランス接続しての試聴でした。XLRのバランスケーブルが公式で売り出されているとのことで、SennheiserSONYのひそみに倣った形になります。

高価格帯のオープン型としては、かなり元気な音色であるという印象を受けました。HD800やK812よりはPS1000eに近く、元気で艶がある音です。バランスはかなりフラット。音場は開放型としてはかなり狭めですが、PS1000eほどではありません。音の分離は良好。

他の10万クラスの開放型ヘッドフォンが、モニタ寄りになっていることを考えると、中々面白い音作りだと思います。元気な音が好きだけど、GRADOでは癖が強すぎる、という人にはお薦めでしょう。

 

OPPO PM-1 & HA-1

PM-1は密閉型ヘッドフォン、HA-1はDAC内蔵ヘッドフォンアンプ。4極のバランス出力も出来ます。

密閉型らしい音で、Edition9やTH900を彷彿とさせます。バランスはやや低音寄りで高音は大人しめ。音場はやはり狭め。音色はかなり魅力的です。

はっきり言って、FostexのTH900と真っ向からぶつかるように感じました。価格帯も音色もかなり近いです。高音の量くらいでしょうか、違いは。

HA-1は入力も多くて、なかなか優秀なように感じました。ただバランス出力が4極なのが個人的にはちょっと……。規格を早く統一して欲しいです。

 

ASUS Essence III

PCパーツやスマホで有名なASUSが出したDAC/HPAです。私の自作PCマザーボードはいつも、ASUSなのですが、オーディオに進出してくるとは思ってませんでした。

入出力は一通り揃っていますが、ヘッドフォンのバランス出力は出来ません。アナログ出力はありますが。基本的にはDACだということなのでしょう。

担当者が高音の広がりを意識した、と言っていたとおり、ややハイ上がりのバランス。低音は控えめですがタイト。音場は広いが分離はそこまで良くない。音色もそれほどではありません。

決して悪い音ではありません。しかし、同価格帯にDA-06があることを考えると、HPAがついているとは言え、コストパフォーマンス的にはかなり苦しいように思います。低価格帯モデルのEssence1の方が、その点では検討に値します。

 

Audio Technica ATH-CKR10

さて、実は1年以上前に発売されていたこのイヤフォン、なぜか今まで試聴していなかったのですが、驚きました。

ダイナミック型のユニットを平行に、しかも反対向きに並べた独自構造とのことです。

イヤフォンとしてちょっと他に例を見ない音がします。特に低音が素晴らしく、ここまでボリュームとタイトさを両立したイヤフォンは聴いたことがありません。オーバヘッド型でも稀でしょう。Edition9に匹敵しうるものです。これだけで買う価値は十分にあるでしょう。

一方で、音の分離や音場は平凡です。価格なりではありますが、各メーカーのフラグシップと比べると分が悪いのは否めません。

個人的には、これにさらにBA型を加えたハイブリット型を聴いてみたいのですが、さすがに難しいでしょうか……。

 

 

カスタムIEM系メーカ、聞き比べ

さて、実は今までカスタムIEMにあまり興味が無かったのです。中のユニットが音質に対して支配的であると私は考えているからです。とはいえ、食わず嫌いも良くないな、と聞き込んでみることにしました。とはいえ、カスタムしたものを試聴は出来ませんので、ユニバーサルモデルが中心です。

さて、お気に入りのK3003の牙城を崩せるのか、楽しみです。

 

Unique melody MASON & MARVERICK

まず、MASONの方はBA型の12ドライバ。ここまで多いのは珍しいですね。

バランスはフラットで良好。音の分離も中々悪くないが、線が細く少し分析的。音場はカナル型としては十分なレベル。全体としてややモニタ色が強い印象があります。

 

MARVERICKはK3003と同じハイブリット型。低音にダイナミックドライバがひとつ

残りはBA型とのことです。

ダイナミック型が入っているだけあって、音色は綺麗。バランスはやや低音より。高音の抜けが少し良くない。中音域はとても綺麗に出ます。

 

 

JH Audio Roxanne

こちらもBA型12ドライバ。ユニバーサルモデルです。個人的に名前が好きです。

肝心の音質ですが、かなり低音寄りで、ベースが膨らみます。あまりタイトではない。中音域ははっきり聞こえてくるが、高音の抜けは今一つ。音の分離が良くない。感じとして、Shureのイヤフォンに近い気がします。

 

Fit Ear 萌音17

アニソン向けカスタムIEMのブラッシュアップ版とのことです。こちらはユニバーサルでは提供されない模様。ブースには凄い人数が並んでいて、本当はParterreが聴きたかったのですが、こちらに案内されました。

バランスはかまぼこ形。ボーカルを意識したとのことで、さすがに音色は綺麗です。音場が狭く、本当に、歌を楽しみたい、というコンセプトで作られたのが判ります。分離はあまり良くない。

 

と、いうことで色々聴いてみました。ここに書いていないものもありますが、K3003から乗り換えたいと思うほどの機種はありませんでした。ひとつ選ぶならUnique MelodyのMASONでしょうか。基礎性能は一番高いように思います。

 

そんなこんなで、長くなりましたが、満喫しました。

DA-06のレビュー(LUXMAN)

LUXMANDAC、DA-06のレビューです。

 

LUXMANといえば、言わずと知れた老舗のオーディオメーカです。特にアンプでは高い評価を得ていて、その艶のある音色はラックストーンと呼ばれています。

その老舗が、USB入力を備え、ハイレゾにいち早く対応したDAC、DA-200を発表し、PCオーディオに目を向けたのは、かなり意外なニュースでした。あまり、そういう胡乱な新しい分野に手を出すイメージではなかったからです。

 

DA-06はそのDA-200の後発として出されたハイエンドのDACです。PCMだけでなく、DSD音源にも対応した、本気でPCオーディオに目を向けた製品です。前から欲しかったのですが、ついに買ってしまいました。

 

ロゴ

 

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写真下部がDA-06。上に乗っているのがsa1.0

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スペック

入力はUSB1系統、COAX2系統、OPT2系統、バランス(AES/EBU)1系統ということで、DACとしては十分すぎるほど。前面のつまみで入力を切り替えます。

アナログ出力はアンバランス(RCA)とバランス(XLR)が1系統ずつ。同時に出すことが出来ます。

他にデジタルの出力がCOAX1系統、OPT1系統あります。使いませんけど……。

 

音質

早速、音を出して聴いてみました。環境はいつも通り、ヘッドフォンははX-HA1+HD800(バランス化)。スピーカーはsa1.0+NS-1 classicsです。

PCから音を出しました。USBケーブルはiFi AudioのGeminiです。電源はiUSB Powerから給電していますが、バスパワー駆動ではないので、ほとんど効果は無いでしょう。

一聴して、音の良さが判りますが、一般的に言われるラックストーンのような強烈な個性は感じません。ハイエンド機特有の、極めてハイレベルにバランスが取れた音色です。また、ノイズ感はありません。

音の分離が非常に高く、しかも線が細い音ではありません。艶やかさと精密さを高いレベルで両立させた、非常に上品でしかも鋭い音です。さすがは老舗のメーカとでも言うべきか、きちんと音作りをしていることが判ります。

バランスはかなりフラットですが、ゆるいかまぼこ形です。中音域の音色の綺麗さは特筆ものです。また、低音域は力感が感じられますが、決して下品に膨らまず、よく制動されているのが判ります。高音域は決してしゃりつかず、やや丸みを帯びている印象です。

音場は、極端に広いわけではないですが、かなり明確です。横幅もほどよく広く、奥行きが感じられます。

 

フィルタとソフトウェア

DA-06では前面のボタンでフィルタを3パターンから切り替えることが出来ます。1が普通の音色。2は少しモニタより。3が艶やかさを強調しているような感じです。個人的にHD800では3が一番好きですが、NS-1 classicsでは2の方が良いように感じました。

 

また、LUXMANのWebページから、専用の再生ソフトウェア、「Luxman Audio Player」がダウンロードできます。

経験上、再生ソフトで音質が変わると言うのは解っていましたが、ここまで激変するとは思っていませんでした。普段使いのFoobar2000と比べ、明らかに精密さが違います。

ただ、操作性はめっぽう悪いです。ライブラリ機能がないので、エクスプローラからD&Dして使うのが主です。まあ、ソフトメーカーではないので仕方が無いのですが……。もうちょっと頑張って欲しかった。或いは、Foobar2000からこちらのプレーヤーのエンジンを使って再生、とかが出来れば良いんですけど……。

 

Digital Link III(PS AUDIO)との比較

これまで使っていたDL IIIと比較してみます。まあ、価格差が二倍以上あるので、ちょっと勝負になりませんが……。

音の分離と音色の綺麗さでは比較になりません。特にDL IIIは線が細い音だと言うこともあって、力感の部分で大きく差が付きます。また、低音の量において、大きくバランスも異なります。

音場の横の広さはDL IIIの方が広いですが、明確さでは圧倒的にDA-06。

基礎能力の点で、大きく水が開いているのは否定できないところです。値段も発売時期も全然違うので仕方が無いところではあるのですが……。それだけDA-06が素晴らしい機種だということは確かです。

 

DDCの有無による違い(iLink)

DA-06はもちろんUSB入力だけではなく、光や同軸も受けることが出来ます。PCからの再生ですと、専用のDDCを使うとどう変わるのか気になるところです。元々使っていたiFi AudioのiLinkを使った場合と、PCM音源で比較してみました。

どちらにせよ、USBケーブルはiFi Gemini With iUSB Power。同軸デジタルケーブルはAVCTの4C-XEWを使用しました。

 

僅差ですが、DA-06に直に入れた方が良い音がします。音の分離の違いを少し感じます。音色やバランスでは差が判りませんでした。本当に小さな差ですが、USB入力にもかなり気を遣っているのが判ります。

 

ただ、これはDA-06にはLuxman Audio Player、iLinkではFoobar2000を使ったときの差だという点には注意が必要です。両方ともFoobar2000から出したときには、違いを感じませんでした(ただし、iLinkではDSDがネイティブで再生出来ませんが)

つまり、機器の差よりは、ソフトウェアの違いと言った方が正確かも知れません。

 

ちょっとした問題点

さて、ここまでかなり褒め称えてきましたが、DA-06 にも難点があります。

ひとつは、ロックするときにカチカチと音がすること。特に、PCから音を出している場合、1曲ごとに音が鳴るので、少し気になります。

もう一点、かなりニッチな悩みです。私はPCでテレビも見ているのですが、DA-06にUSBで音声出力出来ません。著作権保護に引っかかっているようです。まあ、まさかLUXMANの設計者も、25万のDACにUSBからテレビの音を入れるとは思っていなかったのでしょう……。仕方が無いので、再生ソフトを立ち上げる前に、他のデバイスに切り替え、同軸でDA-06に入れています。手間なのでなんとかなると良いのですが……。

 

総評

PCでオーディオをやっている人にとっては、ひとつの到達点となるDACではないかと思います。もちろん。DSDをはじめとするハイレゾ対応、機能の豊富さがまず目に付くところです。

しかし、このDA-06の最大の素晴らしさは、基礎性能の高さにあります。ソースがどんなに高密度であっても、やはりそれを生かせなければ意味がありません。その点において、DA-06は一切の手を抜いていません。新しいフォーマットに対応しつつ、今まで培ってきたノウハウを生かした基礎性能も損なわない。まさに新時代に相応しい最高のオーディオ機器だと言えるでしょう。